-台北近郊のローカル線巡り-
2016年6月9日、朝から日差しが熱い。
ホテルから台北駅へ向かう地下鉄はガラガラだった。
平日なはずなのになぜだ?
台湾の朝は遅いと聞いていた。
会社ももしかしたら始業時間が遅いのかもしれない。
今日からいよいよ台湾の鉄道に乗りまくる旅が始まる。
今日はウォーミングアップも兼ねて、台北近郊にあるローカル線に乗ることにした。
台北から少し東へ行くと深澳線と平渓線が出ているので、それに乗る予定だ。
まずは切符を買わなければならない。
自分は台湾の鉄道に乗りまくるので、TR-PASSというフリーきっぷを買うことにした。
TR-PASSは台湾の鉄道が乗り放題になる切符で、学生用と一般用があり、それぞれ3日用と5日用がある。
学生用は日本で言うところの特急に相当する自強号(ツーチャンハオ)には乗れない。
乗れるのは莒光号(ジューグアンハオ)と復興号(フーシンハオ)、區間車(チュージエンチャー)のみで、座席指定はできない。
-台湾の列車種別と料金の仕組みについて-
ここで分かりにくくならないためにも、台湾の列車の種別について説明しておきます。
まず、日本で言う特急列車に相当するのが自強号で、自強号の中にもさらに2種類の列車がある。
太魯閣号(たろこ号)と普悠瑪号(ぷゆま号)がそれで、立派な列車名が付いているが自強号の一種だ。
太魯閣号と普悠瑪号は日本製の新型車両が使われている。
一方、自強号は古い車両から新型車両まで様々で、電車だったり客車列車だったり気動車だったりする。
莒光号は日本で言うと急行列車に相当する。
基本的に機関車に客車を繋いだレトロなスタイルで走るが、車両は古くても車内はしっかり整備されている。
駅に着いても自動でドアが開かない旧型客車タイプの列車もあるので、その場合は自分でドアを開けて乗り降りする。
復興号は日本で言うと快速に相当するが、現在では見かけることは珍しい存在である。
區間車・普快車は日本で言うと普通列車、つまり各駅停車に相当する。
區間車は車内がロングシートだったりと、日本の通勤電車とあまり変わらない。
普快車は客車列車で運行されるが、そもそも電車化が進んでいる台湾では普快車はレアな存在で、滅多に見かけることはない。
ということで、早い順に並べると
普悠瑪号>太魯閣号>自強号>莒光号>復興号>區間車・普快車
となる。
続いて運賃の仕組みだが、日本の場合は乗車券にプラスして、特急に乗るなら特急券を買うことになる。
指定席に乗るなら、特急料金に指定席料金をプラスする。
グリーン車に乗るなら、特急料金にグリーン料金をプラスする。
つまり、乗車券という基本料金に必要なものを追加していくシステムになっている。
台湾の鉄道は、種別ごとに運賃が決まっている。
だから、自強号には自強号の運賃が設定されているし、莒光号には莒光号の運賃が設定されている。特急料金だとかそういう概念がない。
このシステムは普通に鉄道を利用する人にとっては特に問題がないのだが、いろんな列車を乗り継いで目的地まで行く鉄道好きには少し不便だ。
AからBまで普悠瑪号で行き、BからCまでは莒光号で行くとなると、A~Bの普悠瑪号の切符と、B~Cまでの莒光号の切符が必要になる。
日本ならAからCまでの乗車券を買っておき、必要な列車の特急券をその都度買えばいいが、台湾だとそういう乗り方は難しい。
さらに、普悠瑪号と太魯閣号は立席が認められていないので、自分が乗る列車の指定を受けていないと利用できないことになる。
もし指定を受けずに乗ると不正乗車となり、罰金を払わされることになる。
自由席がほとんど無い台湾の鉄道には独自のルールがある。
台湾の列車は區間車・普快車以外は全車指定席だが、指定席券を持っていなくても座席が空いていれば座ることができる。
ただし、その座席の指定席券を持った人が乗ってきたら、席を譲らなければならないというルールになっている。
しかし、普悠瑪号と太魯閣号に関してはそのルールは認められず、必ず指定席券を所持していないと乗れないルールになっている。先述した通り、普悠瑪号と太魯閣号は立席が認められていない。
というわけで、あちこち巡りたい鉄道好きにとって、この料金体系はちょっとした障壁となる。
-話を戻して旅の続き-
台北駅の窓口で、予め用意した台鐵の公式サイトにあるTR-PASSのページを印刷した紙を出した。5日用と一般用に丸をつけてある。
ベテランっぽく見える窓口の職員さんは、なんだか厄介なのが来たなという感じで紙を見ている。
そして事務所の奥の方へ入っていき、手にTR-PASSを持って戻ってきた。
代金の2500NT$を支払ってTR-PASSを手に入れた。
文章にするとあっという間のことのように感じるけど、実はかなり時間がかかった。
窓口の職員さんはもしかしたらTR-PASSの存在を知らなかったのかもしれない。
続いて、これから瑞芳(るいふぁん)まで行くので、9時ちょうど発の自強号の指定席券を発券してもらおうとしたが、「没有」と言われた。
没有は「メイヨー」と発音する。意味は「無い」ということ。つまり、空席は無いということ。
中国語ができればここからさらに質問を突っ込んで、空席のある列車はないかと聞けるのだが・・・。残念ながらわからない。
うーん、どうしようと思いながら窓口をあとにした。
とりあえず時間には余裕があるし、自強号は全席指定だが空席があれば座ってもいいことになっている。なんならデッキに立ちっぱなしでもいい。台北から瑞芳まではそんなにたいした距離ではない。
とりあえず地下の改札を入り、ホームへ下りた。
台北駅は地下にホームがある。
ターミナル駅の割にはホームが狭く、大きな荷物を持った旅行客で溢れている。
ここで自分も不安な気持ちが溢れてきた。
頼れる人もいない異国の地。言葉も分からない。本当にこれから5日間、鉄道の旅ができるのだろうか・・・。
人混みの中であくまで冷静を装いつつ自強号を待ったが、ここでふと思った。
適当にやってきた自強号に乗って、それが瑞芳に停まるとは限らない・・・。
目の前にいる駅員さんに聞けばいいことだが、なぜか躊躇してしまった。
英語も通じないのではないか・・・。なぜかそんなことを思った。話してみないと分からないのに。
それに、そもそも席が空いていれば指定席でも座っていいと言われても、日本人には馴染みのないシステム。果たしてそんなことがあり得るのだろうか。勝手に他人の席に座ってケンカにならないのだろうか。
考えればいくらでも不安になる。
自強号がやってきた。
自分が乗る予定の列車ではない。
ドアが開くと、ホームにいた観光客たちが一斉に乗り込む。
自分も乗ろうと思ったが、この人混みに突撃する勇気がなかった。
なんでこんなところで弱気になっているのだろう。
自分はとりあえず適当に區間車に乗った。
台北駅のひとつ隣の松山駅で降りた。
愛媛県松山市出身の自分が、台湾の松山にいるとはなんだか不思議な感じがする。
ここで何をするか・・・。
特に何もないのだが、窓口で瑞芳までの空席がないか調べてもらうつもりだ。
窓口は若い女性の職員さんだった。
自分は紙に乗る予定だった自強号よりあとの自強号の列車番号と乗車区間を書いたメモを見せた。
答えは没有ではなかった。
だが、空席があるという答えでもなく、そもそも瑞芳に停まる自強号はあまりないよ、というようなことを言われた。
適当にやってきた自強号に乗らなくてよかった。
目的地の瑞芳を通過してしまっていたかもしれない。
ここで日本なら時刻表でも使って計画を立て直すのだが、そもそも台湾では時刻表の需要がない。探せばどこかで売っているらしいが、売っている数は少ないようだ。
気を取り直して區間車で瑞芳を目指す。
區間車もなかなかの混雑で、当然座席は全て埋まっていた。
うーん、平日なはずなのにみんな仕事や学校は行かないのだろうか・・・。
台北から40分も走れば高層マンションもなくなり、山が迫ってきた。
ずっと街が続く日本とは違って、景色の変化が早い。
10時15分、瑞芳に到着した。
時刻表がないから定時運行なのかどうかも分からない。
車内のお客さんのほとんどが降りた。
瑞芳は日本人にも人気のある観光地、九份の麓にある街なので、多くの人がここで降りてバスやタクシーで九份を目指す。
自分は深澳線に乗り換えるために下車した。
深澳線は一度廃止になった路線だが、沿線に国立海洋科技博物館ができたために、起点の瑞芳から4.2km先に海科館駅を設置して2014年、路線の一部が復活した。
元々12.3kmあった路線なのに、復活したのはわずか4.2kmだけだが、鉄道好きからするとそれだけでも嬉しい。
とにかく、線路があるのなら乗らなければ。
発車時間まで余裕があるので、駅前に出てみる。
駅の入口には台湾鉄路管理局129周年を記念する幕が掲げられている。
駅前にはお店が並んでいる。バイクも並んでいるのは台湾らしい。
暑すぎてさっさと駅に戻ってしまった。
ホームは風が吹いてて涼しい。
特急列車が何本も通過していく。
深澳線が分岐している瑞芳駅だが、特急はほとんど停まらないローカルな駅なのだ。
10時15分、海科館へ行く列車が入ってきた。
車両はDR1000型気動車で、日本のキハ32やキハ54と似ている。
この車両は日本車輌が製造した。
車内はロングシートで、車両の真ん中には独特の仕切りがある。
なぜこんな仕切りがあるのかと思ったが、外から見るとこの部分に排気用のパイプが通っていた。
運転席はこんな感じ。
日本とはマスコンとブレーキの配置が左右逆になっている。
あと、速度計が液晶画面なのに、圧力計などはアナログのままだ。
新しい技術と旧来の技術が混ざってて面白い。
11時20分、運転士さんが急いで乗り込んできて瑞芳を発車した。
山奥でもなく、平地でもなく、かと言って線路がまっすぐでもないので列車はゆっくり走る。
自分が乗ってる車両にはお客は自分だけ。
10分かけて終点の海科館駅に着いた。
わずか10分で深澳線の旅は終わり。
車内放送もなく、列車は静かに終点に着いた。
さすが観光路線だけあって、列車にはラッピング塗装が施されている。
乗客はみんな近くの国立海洋科技博物館へ向かって行った。
列車も駅の奥の方へ走り去っていった。
駅を出てすぐにトンネルがあるのでよく分からないが線路は少し残っているようで、そこで折り返しの時間まで待機するようだ。
駅に留置したままでよくない?と思ったけど、なにか事情があるのだろうか。
列車が来るまでうろうろしたり、ベンチで休んだりする。
駅はできたばかりだからきれいだけど、小さな駅だから駅舎もなく、入口にICカードをタッチする装置が置かれているだけ。日本の都市部に近いローカル線の駅そのまんまだ。
発車時刻が迫ると、再び列車が戻ってきた。
-大賑わいの平渓線-
深澳線の次は平渓線に乗る。
実は深澳線と平渓線は直通運転を行っていて、海科館~菁桐(ちんとん)を往復している。
つまり、自分はこの折り返し列車に乗れば勝手に平渓線へと連れて行ってくれることになる。
ただ乗るだけではもったいないので、途中の十分駅で下車してみようと思う。
海科館を出た列車は再び瑞芳まで戻ってきた。
ここで本線である宜蘭線に合流し、平渓線の分岐駅である三貂嶺駅(さんでぃやおりん)まで宜蘭線を走ることになる。
お客さんもたくさん乗ってきて、立っている人もかなりいる。
平渓線も台北近郊のローカル線なので、観光客が多い。
三貂嶺駅に到着して驚いた。
斜面がホームまで迫り、そのホームはわずかな幅しかない。
利用客もほとんどいないらしく、秘境駅の雰囲気を醸し出している。
台湾の鉄道ファンに秘境駅マニアはいるのだろうか・・・。
宜蘭線と分かれ、平渓線はさらに山奥へ入っていく。
列車はゆっくりと険しい谷を走る。
本当に帰れるのだろうか・・・。
不安ばかりが大きくなる。
台北近郊でそんなことを思うようでは、この先の計画が不安になるのだが。
十分駅(しーふぇん)に到着した。
ほとんどの人が降りる。
それにしてもすごい人だ。
なぜこんなに人がいるのだろう。今日は平日のはずだが・・・。
さすがにこの人の多さはおかしい。
スマホで調べてみたら、この時期は旧暦の端午の節句らしく、土日併せて4連休もある。
日本で言うゴールデンウィークのような時期にぼくは台湾に来てしまったのだ。
うぅ、せっかく平日に休める権利を駆使してのんびりと観光しようと思ったのに。
海外旅行をする上で、その国の祝日を調べるということはしたことがなかった。
今後は気をつけよう。本当に今回は運が悪かった。
私は自分の旅行の日程が台湾の祝日と被りまくっている事実にショックを受け、とりあえず人混みに揉まれながら駅を出た。
何もやる気がしないけど、とりあえずうろうろしよう。
線路の両側にはお店があり、タイのメークローン線を思い出させるが、さすがにあそこほど混沌としていない。
ちなみにタイのメークローン線はこんな感じ。
レールのそばまで屋台が並び、商品を広げている。
廃線跡ではなく、現役の鉄道だ。
十分では気球のようなものを飛ばす光景がよく見られる。
天燈と呼ばれ、本来は旧正月の夜に一斉に飛ばすものだが、観光用として1年中飛ばせるようになっている。
願い事を書いてローソクに火をつけて飛ばすのだが、開けた場所がないので線路で飛ばす。
飛ばしたあとのゴミはどうなるのだろうとか、山火事にならないのだろうとかいろいろ気になるけど、多分そういうことは気にしてはいけないのだ。
一人旅だから一人で飛ばしても仕方ないのでぶらぶら歩く。
発音は分からないけど、漢字からしてなんとなく意味は分かる。
線路を通行するな。通行したら罰金払ってもらうからな、ということなんだろうけど、見ての通り誰も守っていない。
列車は1時間に1本ほどしか来ないけど、一応線路は列車が走るところなので気をつけて歩こう。
平渓線は石炭を運ぶために作られた路線なので、このような設備が残っていたりする。
これは貨車に石炭を積むためのホッパーという設備である。
トロッコが走っていたと思われる線路も残っていた。
十分の近くには十分瀑布という滝があるのでそれでも見に行こうと思ったけど、さっきまで晴れていたのがずいぶん暗くなった。
雨が降る前の独特な匂いもするし、折りたたみ傘は持っているけど濡れるのが嫌だから駅まで引き返すことにした。
野良猫がうろうろしている。
犬は暑さのせいで溶けていた。
お昼なので少しお腹が減ってきたが、屋台の独特の匂いで食欲がなくなってしまう。
駅のホームで列車が来るのを待つ。
パンパンと破裂する音が聞こえる。
何かと思ったけど、爆竹らしい。
近くに日本人の観光客がいる。
異国の地で聞く日本語というのはがっかりする。
海外に来たのだからその気分に浸りたいなと思うので、日本語を聞くと現実に戻された感じがする。
しかし、日本語を聞けば安心するのもまた事実だ。
列車が到着して、多くの観光客が吐き出される。
13時47分、菁桐行きの列車は発車した。
列車はこまめに各駅に停車する。
ローカル線の割には駅間が短い。1,2キロ走るともう次の駅に着く。
十分ほどの大きな観光地はないけど、各駅で観光客を拾う。
20分ほどで終点の菁桐に到着した。
菁桐も多くの観光客で賑わっている。
小さな木造の駅舎がかわいい。
日本統治時代に建てられた駅舎で、それが現存しているのは珍しい。
菁桐の街には竹筒がたくさん吊されている。
願い事を書いて吊しておくと願いが叶うとか。
菁桐の駅前は道が細く、お店が身を寄せ合っている。
鉄道グッズを扱っているお店にはなぜか京急の車両の銘板が飾られていた。
一体どういう経緯で台湾に流れてきたのだろう。
コンビニもない山奥の駅なので、水分補給に屋台でスイカジュースを買った。
注文したらスイカをそのままミキサーに入れてジュースにしていた。
それだけなのでスイカの味しかしない、100%純粋なスイカジュースだ。
列車の発車時刻までまだまだ時間がある。
道沿いに並んでいるお店をいろいろ見ていたら、とある乾物屋さんに「日本人か?」と声をかけられた。
そうだと答えると、これも食え、あれも食えと試食を勧めてくる。
干したキンカンと梅を食べて、さらに干した梅で作ったドリンクまでいただいた。
この梅のドリンクが美味しかった。
味は甘いけど、あとから梅の酸っぱさがやってきて爽やかだ。
作り方を聞いてみたが、ご主人も日本語が堪能というわけでもなく、片言の日本語と英語、中国語とジェスチャーで教えていただいた。
干し梅を5,6個水に入れて、味付けに蜂蜜を入れるんだったかな・・・。
しっかりメモしておけばよかった。
作り方を説明し終えたご主人は再び干し梅を勧めてきたり、ドリンクのおかわりを入れてくれたり、キンカンは風邪を引いて喉が痛いときに効くんだとか話を始めた。
キンカンが喉の痛みに効くというのは台湾でも定番なのだろうか。
ご主人はぼくのカバンから出ていたペットボトルを指してなにか言う。
中国語が分からないのでとりあえずペットボトルを出すと、ご主人がこっちへ渡せとジェスチャーで伝える。
ボトルを渡すと干し梅のドリンクをボトルに入れてくれた。
コンビニも見当たらないので助かった。
干し梅も酸っぱすぎず、甘さもあって美味しかったので買って帰った。
多分ご主人は知っているのだろう。
日本人は押せば買うことを。
このときは商売のためだからそうしたのかもと思ったのだが、台湾人の親切さ、優しさを体感して確信を持つのはまた後日のこと。
再び菁桐駅に戻り、駅構内をうろうろする。
ここも十分同様、石炭を積むためのホッパーが残っていた。
線路はカーブを曲がったところで行き止まりになっている。
台湾でも当然、線路内に侵入するのはダメなんだけど、みんな線路に入って写真を撮ったりしている。
列車が入ってくるときはどのようにして安全を確保するのか気になっていたけど、列車が来る時間になると駅員さんが出てきて笛を吹いた。
そしたら線路内でうろうろしてた観光客はホームに上がるなり駅から出て行くなりした。
自分は15時15分の列車で引き返した。
瑞芳で下車し、台北方面へ向かう列車に乗り換える。
やって来たのは韓国製の電車・・・。
形式はEMU500型で、韓国の大宇重工が製造した。
現在は製造元が他社に統合されたため、予備の部品の入手が困難になって整備も難しくなり、活躍の場が狭まりつつある。
瑞芳から3駅、八堵駅(ぱーどぅー)で下車した。
特に観光とかするわけではないのだが、明日以降に乗る列車の予約をしておきたかった。
八堵駅は車庫がある広い駅で、多くの列車がこの八堵を起点として発着する。
台湾に来て意外に思ったのは台北駅が起点なのではなく、車庫がある八堵駅や基隆駅が起点になっていること。だから台北始発の列車は全然ない。
台鐵では指定席でも座席が空いていれば座ってもいいルールになっているから、本当に乗り鉄だけでいいのならこういう車庫のある駅にホテルを取ってもいいのかもしれない。
その方が着席できる確率は高くなる。
-没有だらけの列車-
駅の窓口で明日以降に乗る列車の空席を調べてもらう。
メモに列車番号と乗車区間、列車名を書いておけばスムーズに進む。
列車に乗るのが目的だから乗る列車も多い。
窓口の駅員さんはめんどくさそうな顔をすることもなく、ひとつひとつ端末に情報を入力する。
「没有・・・没有・・・没有・・・」
そう言って私が渡したメモ用紙が次々に戻される。
「没有(メイヨー)」というのは最初の方にも書いたが、「無い」という意味だ。
どの列車も没有である。
結局空いてたのは2本だけ。
それも本来乗る予定の列車ではなく、駅員さんがわざわざ後続の列車に空席がないか調べてくれて、それでやっと見つけた空席だった。
駅員さんは、1時間待てば空席のある列車があるよとか、親切に調べてくれた。
とりあえず空席のある列車は確保して、残りは計画を立て直すことにした。
困った・・・。
計画の大部分を立て直さなければならない。
窓口をあとにして、手に入れた切符をファイルに挟んでおこうと思ったのだが見当たらない。
落としたかと思って振り返ると、台湾人の男性が拾って渡してくれた。
「謝謝」
とりあえず適当に自強号に乗り、台北のホテルに戻る。
いつの間にか雨が降っている。
かなりの雨だが、台北に着いた頃には止んでいた。
ホテルで計画を練り直す。
台鐵の公式サイトからは空席情報を調べることができる。
しかし、これがとても使いにくい。
乗車駅と降車駅を選択しなければならないのだが、駅名を自分で入力したり路線図から選択するのではなく、駅名の一覧からスクロールして選ぶことになる。
ある程度路線ごとに分類されているように見えるが、台湾に来たばかりで細かい地名も覚えてない自分にとってはなかなか苦労した。
検索して分かったが、特急に相当する自強号や普悠瑪号、太魯閣号はまず空席はない。
だが、急行に相当する莒光号なら空席はある。だから、莒光号を主体に計画を組み直してみた。
しかしどうしても列車の都合がつかず、4日目のローカル線巡りは中止にした。
台湾は大型連休だ。
空席照会も空席があったとしても、どのぐらいの座席が空いているかは表示されない。
全てはあるか無いか。
だから、誰か一人でも座席を取ったら満席になるかもしれない。
私は急いで駅に向かった。
急ぐ必要なんてないし、だいたい旅というのはどうにでもなるものなんだけど・・・。
台北駅は混雑してそうなので、隣の松山駅に来た。
窓口の駅員さんにメモを渡す。
空席照会で全て空席があると表示されていたものなので、今度は「没有」と言われることなく無事に発券してもらえた。
安心したので、松山駅の中をうろうろする。
JR四国の松山駅を紹介するパネルが立っている。
台鐵の松山駅と、JRの松山駅を紹介する展示スペースがあった。
うーん、なかなか本格的だなぁ。
実はJRの松山駅には、台鐵の松山駅を紹介する展示スペースは作られていない。
これだとなんだかJRばかりが台湾でアピールしてるみたいだ。
台湾もいいところたくさんあるので、JR松山駅でも台鐵の松山駅の特別展示とかすればいいのにな・・・。
床には台鐵とJRそれぞれの路線図が描かれていた。
四国の名産品や、JR四国の列車などが紹介されている。
この日は計画の立て直しでかなりの時間を使い、どこかで食事する体力もなくなっていたのでコンビニでお弁当を買って済ませた。
余談だが、台湾のコンビニではレジ袋が有料なので、エコバッグを持って行った方がいいかもしれない。
と言っても、レジ袋は1枚につき1NT$なので、日本円にすれば3.5円ほど。
だから元を取るためにはエコバッグをかなり使わないといけないので、エコバッグを買う方が高くつく。
しかし、台湾のコンビニではレジ袋を使う人は珍しいらしく、その都度袋に入れて欲しいと言わなければなくて面倒だし、エコバッグがあった方がレジを通した商品をさっさと自分で詰めることができるのでお会計もスムーズに進む。
ということで自分はお金云々ではなく、総合的に判断して自分にとってメリットのある方法を選んだ。
あと、台湾のコンビニの品揃えは日本とあまり変わらない。
弁当だけは種類が少なかったが、パンやおにぎり、お菓子やドリンクは台湾のものから日本のものまで豊富に揃っている。
ということで、台湾での2日目が終わったのでした。
【続きはこちら↓】
台湾の鉄道に乗りまくったお話 1日目
台湾の鉄道に乗りまくったお話 3日目
台湾の鉄道に乗りまくったお話 4日目
台湾の鉄道に乗りまくったお話 5日目
台湾の鉄道に乗りまくったお話 6日目
台湾の鉄道に乗りまくったお話 最終日
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