2016年4月11日月曜日

タイ一人旅 3日目

加筆、訂正の上、tumblrより移転。

2015年1月20日
今日は戦場にかける橋という映画のモデルとなったクウェー川鉄橋を走る、旧泰緬鉄道に乗りに行こうと思います。
クウェー川は日本語表記だとクワイ川と書かれていることが多いですが、
現地の発音ではクウェーの方が近いのでそのように表記することにします。
旧泰緬鉄道についてはwikipediaなどで詳しく説明されているので詳細は省きますが、
タイとビルマ(現ミャンマー)を結ぶ鉄道で、戦時中に日本軍が突貫工事により建設したもの。
多くの犠牲者を出したので別名Death Railwayと呼ばれる。
現在はビルマ側の線路は廃止となり、
タイ側も比較的利用客が見込めるナムトックまでしか線路は残っていません。
旧泰緬鉄道、現在のナムトック線はバンコクの西の外れ、トンブリー駅から出ています。
BTS(高架鉄道)も通ってないので、ホテルからタクシーを拾いました。
ちなみに、ガイドブックにはホテル前に止まってるタクシーは乗るなと書かれていたので、
流しているタクシーに乗りました。どうやらホテルマンと組んで、お互いにお金を分け合ってるらしく、
規定より高い料金を払わされるトラブルが多いみたいです。
さて、タクシーですが、まずは運転手に目的地を告げ、乗せていってくれるか聞きます。
「トンブリー、サタニーロッファイ」とタイ語で話しかけたところ、快くOKしてくれました。
さて、市街地を20分くらい走ったところで「トンブリー」と運転手が言って路肩に車を止めました。
そこは昨日、メークロンからの帰りに降りたウォンウェンヤイ駅の前でした。
違う違う、ここじゃなくてトンブリー駅だとスマホの地図を見せます。
運転手は笑って、「あぁそっちか」といった顔をします。
方角的にはウォンウェンヤイ駅もトンブリー駅も似たようなもので、
バンコクは橋が少ないのでウォンウェンヤイ駅前を通るルートも間違いではありません。
もしかして少しでも運賃を上げようと騙したのかなと思ったけど、
あとで地図を見て運転手が間違ったのも納得。
ウォンウェンヤイ駅の近くに、BTSのクルン・トンブリーという駅があったのです。
そして、ぼくが行きたいトンブリー駅は別名、ノイ・バンコクという名前があったのです。
運転手に悪意はありませんでした。
トンブリー駅までの間、運転手は眠そうに運転していました。おそらく、夜勤明けなのでしょう。トンブリー駅に着くと、
お互いニコニコして、ありがとうと挨拶して別れました。
笑顔のすてきないい運転手でした。
ナムトックまで日帰りでいける列車は1日1往復だけ。
ぼくはトンブリー駅を7時50分に出る列車に乗ります。
終点のナムトックまで約200kmほどを4時間半ほどかけて走ります。
料金は外国人は100バーツ(約300円)です。外国人料金でもこの安さ。
もっと値上げしてもいいのになと思いました。
駅のホームは既にバックパッカー風の観光客と通勤客で賑わっています。
発車時刻が近づいてきたのに、到着したのは機関車だけ。
定刻の7時50分を過ぎた頃、別の機関車に押されて、ナムトック行きの客車が到着。
先ほどの機関車に連結されました。すでに遅延してます。
客車は日本でいうところの旧型客車で、ドアは開きっぱなし。冷房ももちろんなし。
客車の形式も様々でロングシートのものもあれば、自分が乗った車両のように
ビニール張りのボックス席のものもあり、木製のボックスシートもあります。
列車が発車するときに鳴らす鐘。タイ国鉄の駅にはだいたいこの鐘がある。
定刻より15分遅れの8時5分、ガコンと衝撃とともに列車は動き始めた。
トンブリー駅から少し進むとマレーシアの方へ行く南本線に合流する。
つまり、トンブリー駅は支線のような形になっている。
さすが本線だけあって乗り心地もよく、列車は時速80kmほどで快調に走る。
トンブリー駅を出て約1時間。ナコンパトムというそこそこ大きい駅に着いた。
ここで南本線の特急とすれ違う。遅れが増える。
まわりは田んぼばかりになる。
巨大なさやえんどうみたいな植物を発見する。でかすぎ。
列車はNong Pladukという駅を出てしばらく走ると南本線と別れます。
ここからがいよいよ泰緬鉄道の区間となるわけです。
南本線と分岐してから、あからさまに乗り心地が悪くなります。
昨日のメークロン線に負けず劣らずの揺れ方です。
速度も時速50km出せればいい方でしょうか。
人生ゆっくり行かねばと悟ったようにマイペースに走ります。
THARUANOIという駅に到着。駅名表を見ると、
次の駅はいよいよカンチャナブリー(KANCHANABURI)です。クウェー川鉄橋の観光地です。
クウェー川鉄橋の最寄り駅はクウェー川鉄橋駅ですが、街の中心は
カンチャナブリー駅です
気づけば遠くに高い山が迫ってきています。この山を抜けて、
戦時中はビルマまで鉄道が走っていたのでしょう。
定刻より25分遅れでカンチャナブリー駅に到着。駅はなぜか学生たちで賑わっています。
遠足か何かでしょうか。車内が一気に賑やかになります。
一駅走ってクウェー川鉄橋駅に到着。駅前には当時日本から持ってきた、
C56という蒸気機関車が保存されています。
いよいよクウェー川鉄橋を渡ります。この鉄橋は人が歩けるようになっていて、列車が通過するときだけ写真のように
退避スペースに避難します。
列車はゆっくりと鉄橋を渡ります。
ここが約70数年前に多数の死者を出して開通させた鉄道だということが、
景色が穏やかなのでなんだか信じがたく思います。
バンコク周辺は田んぼや湿地帯が多く、湿っぽい景色が広がっていましたが、
標高も高くなったせいか乾燥した景色が広がってきました。
クウェー川鉄橋から少し走ったところに、沿線で2番目の名所であるチョンカイの切り通しを通過します。
この切り通しは高さ約30メートルもあり、本来ならトンネルにすべきところですが、
爆薬などが不足していたため切り通しにしたのだそうです。
ごつごつした壁が目の前を通り過ぎていきます。
土の色が赤くなりました。鉄分が豊富なのでしょうか。
山は一層深くなり、斜面にへばりつくようにして走ります。
よくこんなところに鉄道を通したなと思います。タイからビルマまでわずか1年半で開通させたそうです。
この鉄道の最後を飾るのは、タム・クラセー駅手前にあるアルヒル桟道橋です。
現代では珍しい木造の橋です。
ここが泰緬鉄道でもっとも難工事を極めた場所で、多くの死者を出したそうです。
列車は時速5kmほどの速度で渡っていきます。ギギギギという橋のきしむ音が不気味で、下手なジェットコースターなんかより数段怖いです。
70分遅れで終点のナムトックに到着。すぐ折り返すと思うので写真撮影している時間はありませんでした。
帰りは途中のカンチャナブリーからバスで帰ることにしました。
本来ならクウェー川鉄橋や鉄道資料館を観光したかったのですが、列車がこの時点で100分遅れ。
うろうろしていたらバンコクに戻るのが深夜になってしまいます。
カンチャナブリー駅前に保存されている特徴的な蒸気機関車。
しかしこれは泰緬鉄道とはなんの縁もゆかりもないものだそうです。
今さら気づいたのですが、日本の在来線の軌間である1067mmより若干狭い気がします。
もしかしてメーターゲージ(1000mm)なのかな?
さて、JRの駅が市街地からかなり離れたところにあるように、
ここカンチャナブリーも市街地から離れており、
バスターミナルまでは約2キロほど歩かなければなりません。
それにしても暑い。セブンイレブンで水を買って休憩していたら、
ぼくは信じられないものを見てしまいました。
路地から出てきた車にエヴァンゲリオンの絵が描いてある、いわゆる痛車で、
こっちにも好きな人がいるんだなと思ったのですが、
信じられないのはそこではなくナンバーが相模ナンバーだったことです。
とんでもないものを見たと思いました。ここは間違いなくタイなのに・・・。
カンチャナブリーのバスターミナルに着きました。
窓口でバンコクのバスターミナル行きの切符を買おうとしましたが、なぜかあっちだと言われました。
そこは発車を待つ運転手たちが何人か談笑していました。
とりあえずバンコクのバスターミナルに行きたいと告げると、
その中の一人が、「サウス?ノース?」と言ってきました。
バンコクには主要なバスターミナルがいくつかあり、カンチャナブリーからは南バスターミナルと
北バスターミナル行きが出ています。
私は南バスターミナルへ行きたかったのでサウスと答えると、
運転手が数字の書かれたスタンプを押してくれました。それが切符でした。
価格は110バーツ(約330円)と、列車より高い。
バスに乗るとエアコンが効いていて、座席も日本の高速バスのように2列&2列の配置で快適でした。
バスターミナルからはぼくを含め3人ほどの乗客しかいなかったけど、
国道の手前にあるバス乗り場からは学校帰りの学生たちがたくさん乗ってきました。
バスは例によって飛ばしまくります。日本の高速バスだと、
立ったまま乗るのは確かほとんど認められなかったと思いますが、
タイの高速バスは乗客をできるだけ詰め込んで走ります。
事故が起きたらみんな吹っ飛んでいくなと思いました。
カンチャナブリーから約2時間。すっかり日が暮れてしまいました。
とあるバス停で乗客全員が降りました。しかし、どう見てもバスターミナルという雰囲気ではありません。おばちゃんの車掌さんが、あんたは降りないのか?といった感じで話しかけてきます。
「サウスバスターミナル?」
と聞くと、
「10ミニッツ!」
と言われました。どうやらまだ終点ではないようです。
iPhoneの地図を見ていると、バスはUターンしてカンチャナブリー方面へ走り出しました。
どういうことなのか不安に思いつつも約10分後、車掌のおばちゃんに「バスターミナル!」と言われ・・・
降りてみるとどう見てもガソリンスタンドです。車掌のおばちゃんはあっちだと指をさします。
そっちを見ると、でかい建物がありました。それがバスターミナルのようです。
立派なバスターミナル。写真に入りきってないのでわかりにくいが、
結構奥行きもあってちょっとしたショッピングモールみたいだ。
さて、これで乗客のみんなが手前のバス停で全員降りたのか分かった。
Uターンしてバンコク中心部へ行くには遠回りになるから手前のバス停で降りたのだ。
ぼくはここから路線バスに挑戦しようと思ったが、時刻は既に20時を過ぎている。
腹が減って仕方ないのでタクシーに甘えることにした。
バンコクに戻ったぼくは、無性に日本食が食べたかったのでその手のお店に入った。
日本人相手のお店ではなく、客層は欧米人ばかりだった。
ここの料理がとにかくボリュームがある。この鉄火丼にしても、
写真だと分かりづらいがどんぶりがかなり深い。具も多いので全部食べきれなかった。
あと、味は悪くなかったけど、ごはんの炊き方はやはりいまいちだと思った。
海外に寿司など生魚を食べる文化が進出して随分浸透して、周りを見ても
普通ににぎり寿司とか食べてる外国人が多かったのだが、ぼくのあとに入ってきた欧米人二人組は、
メニューを見てそのままなにも頼まず店を出て行ってしまった。やはり生魚は抵抗があるのだろうか。
そんなことを大量のマグロと戦いながら思ったのでした。

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